YYamada

ソーシャル・ネットワークのYYamadaのレビュー・感想・評価

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)
3.8
【戴冠!ゴールデン・グローブ賞】
 ~オスカー前哨戦を制した作品たち

◆第68回(2010)G.グローブ作品賞受賞
 (ドラマ部門)
◆同年のアカデミー作品賞
『英国王のスピーチ』

〈見処〉
①若き伝説、マーク・ザッカーバーグ
「Facebook」創設の物語
・『ソーシャル・ネットワーク』は、2010年のアメリカ映画。
・本作の舞台は2003年のマサチューセッツ州ケンブリッジ。ハーバード大学に通う19歳のマークは、親友のエドゥアルドとともに学内の友人を増やすためのネットワーキング・サービスを開発。
・そのサービスは瞬く間に他校でも評判となり、ファイル共有サイト「ナップスター」創設者のショーン・パーカーとの出会いを経て、社会現象を巻き起こすほどの巨大サイトへと急成長を遂げるが…。(eiga.comより抜粋)
・本作は、世界最大のソーシャルネットワーキングサイト「Facebook」創設者マーク・ザッカーバーグの半生が描かれたノンフィクション小説『facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』執筆前の企画書をもとに、名脚本家アーロン・ソーキンが脚本化し、鬼才デビッド・フィンチャーが映画化した作品である。

②完璧主義者、フィンチャー
・本作は、製作時48歳であったデビット・フィンチャーの第8回監督作品。
・18歳でルーカス率いるILMのアニメーターとして映画界に足を踏み入れたフィンチャーは『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』や『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)などで 特撮・マット撮影を担当。
・1986年にはビデオ製作会社「Propaganda Films」を設立。マドンナ、ジョージ・マイケルなどのMVや数多くのCMを手掛け認知度を広げ、1992年の『エイリアン3』で映画監督デビュー。しかしながらスタジオによる製作・編集の介入などもあり、批評家や鑑賞者から散々な評価で辛酸を味わう。
・フィンチャーの評価が好転したのは1994年のローリング・ストーンズのMV「Love is strong」と翌1995年の『セブン』の成功から。以降はスター監督として第一線で活躍を続け、現在に至る。
・フィンチャーの演出の特徴は、100回以上のリテイクを厭わないことであるが、同じ完璧主義者のキューブリック監督とは異なり、俳優の意見を取り入れ、互いに納得したうえでリテイクを行うこと。本作冒頭の5分間にも及ぶマーク・ザッカーバーグとルーニー・マーラの会話シーンも90回以上のリテイクもそのように進められたそうだ。
・このような撮影経験を経た俳優は、フィンチャー作品出演のビフォア/アフターで、自身の演技幅に成長を感じ取れるそうで、本作の場合は、ジャスティン・ティンバーレイクとアーミー・ハマーがその実体験を語っている。
・ILMの特殊工房を経て、CMの世界を生き抜いた「コンマ世界の覇者」フィンチャーの完璧主義者の由縁である。

③結び…本作の見処は?
キャスト、演出、脚色、音楽…欠点のない作品。
○: アカデミー脚色賞に輝いアーロン・ソーキンによる脚本の力強さから、ダレるシーンなく映画の世界に没頭出来る。
○: iPhone登場前。スマホではなく、PCで
Facebookする時代が懐かしい。 
○: フィンチャー作品では控え目な演出に見えるが、アーミー・ハマーの顔面をCG張替えにより双子として描くなど、細部に拘った完璧主義者の編集に違和感なし。
○: ジェシー・アイゼンバーグ、ジャスティン・ティンバーレイク、アンドリュー・ガーフィルド、アーミー・ハマー…今では実現不能な豪華キャスト。それぞれの出世作といえ、みな本作からキャリアアップに繋がった。
▲: 「成功者の孤独」に『ゴッドファーザー』との類似性が指摘される本作であるが、ジェシー・アイゼンバーグ扮するマーク・ザッカーバーグにそこまでのカリスマ性を感じられず。
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