ぉゅ

母べえのぉゅのレビュー・感想・評価

母べえ(2007年製作の映画)
-
2023年 鑑賞 23-17-02
BS12 吉永小百合特集 にて
野上照代先生の実話にもとづいた自伝的小説を原作に、「おとうと」「母と暮らせば」等の山田洋次監督・脚本による、昭和15年の東京、野上家ではユーモアを愛する父の考えからか家族に「べえ」をつけるのが習慣になっていて、母親佳代(吉永小百合さん)のことを「母べえ」、父親滋(十代目 坂東三津五郎さん)のことを「父(とお)べえ」と呼び、娘の初子(志田未来さん)と照美(佐藤未来さん)は、ふたりの大きな愛に包まれて育ち、家庭には平穏があったが、日中戦争の激化とともに国情は大いに変化し、ある日突然反戦思想をもっていた父が治安維持法違反の思想犯として投獄されてしまうという苦境の中で、夫を信じ続け、残された2人の娘を守るため懸命に生きた姿を描いた作品。
スコアはつけられないと感じたため遠慮させていただきます。

ー 母は父に会いたくて2人の娘と必死に生きた様 ー
「べぇ」を名前の後につけて呼ぶユーモア溢れる家族だが... 父べぇの書物が検閲に... 家賃は3ヶ月滞納...「なんとかなると思えばなんとかなる」

“霜を踏んで学校に向かったあの寒い朝のことは一生忘れません”
夜中の警察と父べぇの逮捕、初子と照美の涙を堪えながらの登校、佳代の父で山口の警察署署長の久太郎(四代目 中村梅之助さん)の怒り「滋君が逮捕されたっちゅうことをなしてわしに知らせなんだ 県の警察を通して初めてそのことを知らされてわしゃ大恥をかいてしもぉた!」、治安維持法違反は最悪死罪、父べぇの教え子山崎(浅野忠信さん)の来訪「決して希望を失ってはいけません 先生はひとりではありません 大勢の心ある人が見守っています 頑張って下さい」、父と面会は桜の花が満開になる頃で... 、怯えた表情の照美と痒いと訴える父べえ、笹野高史さんの嫌らしい演技のねちっこさがいいっ!、照美の泣きながらの抵抗「この子の末が恐ろしい」

父べえの妹の久子(檀れいさん)の来訪、コロッケと父ベえの現状、襖から見える照美の姿の映るカットが好き!、でんでんさんだぁ!あのやりとりいいなぁ、書籍の書き込みは厳禁、母ベえと山崎の父ベえとの面会、予想通り泣いちゃう山崎、「山ちゃんはいい人ね」、父ベえからの手紙と初子の涙

夏休みになり叔父の仙吉(笑福亭鶴瓶さん)がやってくる!、西瓜の種、仙吉 vs 久子の芸術は儲かるか?問題、母ベえの父ベえ恩師宅での一悶着、カステラ、仙吉の持論 vs 「贅沢品撲滅運動」という名の国策、非国民、デリカシーに欠けた発言とホッとする顔、トランク、指輪を母ベえにと託す思い、別れのシーンはウルっと来た!

“家の中に男の人がいるっていいものね 私が言ったんじゃないわよ さっきお姉さんが小声でそう言ったの これからも助けてあげてね”
父ベえの教え子だった杉本検事(吹越満さん)の言いたいことをグッと堪え、父ベえとの会話する様にグッとくる!本当に吹越さんの演技が凄くいい!個人的にも吹越さんの演技が好きなんだけど最上級に良かった!、母ベえの父久太郎と彼の再婚相手ふみ(左時枝さん)とすき焼き、父 vs 娘の言い合いが... 、母ベえが過労で倒る... 一方を聞いた山崎の行動と久子の行動、難聴の山崎と耳が遠くなった野村医師(大滝秀治さん)の掛け合い最高!、山崎と久子の別れ側のあの言葉は2人の関係を表した言葉だ... 切なぇ...

父ベえの様子の違和感、海水浴、山崎は金槌?、真っ先に飛び出す母ベえ、母ベえと久子、広島... ?嫌な予感が... 、久子のある告白と久子の夢は照美に託し... 、お正月と羽子板、父ベえが... 、更に山崎は...

玄関と襖が開いていて照美と雪を映したカットや戦後すぐの洗濯物を干す母ベえと奥の方から近づいてくる兵隊さんシーンなど見せ方が絶妙に良くて、やっぱ山田監督だなと頷く作品だし、父ベえや久子、山崎などを通して戦争の不条理さや生への重要さを感じ、涙を溜めた作品だった。そして最後に戸田恵子さん、倍賞千恵子さんありがとうございました。

「覚悟って それ死ぬ覚悟のこと?」「ええ そうです」「何が覚悟よ! 偉そうに なんで私たちを置いて行くの?」

「僕はもうこの世にはいないけど 魂はいつまでもあなたたちの側にいて護ってあげますからね」

「あの世でなんか会いたくないって 生きている父べえに会いたいって 死んでから会うなんて嫌だって」
ぉゅ

ぉゅ