Chirico

ユーリのChiricoのレビュー・感想・評価

ユーリ(1996年製作の映画)
3.9
この頃のいしだ壱成、坂井真紀の透明感は突出していた。冷蔵庫男を演じる永瀬正敏、恋人(?)役の森口瑤子の色気もすごい。皆さんがおっしゃるように、藤原ヒロシのサントラも最高だ。
フィルムの上に、透明な膜を貼り付けたような作品。
透明な夏の夢に吸い込まれてゆく。
全編に溢れている正体不明の危うさに引き付けられ、意味も分からず映画に没入してしまう。
私の記憶が正しければ、助監督に青山真治が参加していたはずで、それを見たとき、ああー、と納得したことを覚えている。
チョイ役で江口洋介も出ている。日本で、このキャスト・スタッフで、よくもまあ、この手の映画が作れたな、と感心してしまう。
透き通った色彩の、「マルホランド・ドライブ」といった感じ。

BGMや、酔った時に流しっぱなしにしておく事が多かった作品。そういった意味では、再生回数がかなり高かった。
洋画で言えば、私にとって「GAMMO」がそれにあたる。

映像学校の卒業制作のような印象は否めないが、この手のフィルムでここまでの作品は、あまりお目にかかれまいと思う。

おススメするかは相手を見て決める映画の、かなり上位に位置します。
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