KenzOasis

マトリックスのKenzOasisのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
4.0
「信じはじめたんだ」

久々に鑑賞したので……
プログラマーでありながら、ハッカーとしての裏の顔ももつ男が、自分の今いる世界が仮想のものであると知り、機械と人間との戦いに挑む話。

最初に観た時なんかは、「カンフー!ガンアクション!かっけー!!」くらいの感想しか抱けなかったけど、いろんな映画や思想、哲学を知るにつれて、この映画が表現していたことの凄まじさに気づく。

同監督による「クラウド・アトラス」を観ても明らかだけど、ウォシャウスキーが常に表現したいのは「愛」についてだろう。マトリックスの3部作では「機械は愛を理解するか?」を壮大すぎる形で描いていた。観ている我々は、それこそネオを信じきるモーフィアス、トリニティーのように愛を以って、信じる心と愛が運命を変えるのではと思わされる。

しかしそれさえも機械が人間を掌握しきるアップデートのためであったという皮肉。機械は愛を知ろうとするが、それは自らも不確実な愛を持ちたいのではなく、ただアップデートして資源としての人間を適切に享受できるようにしたいだけ。本作はその第一歩の物語。

背景は抜きにしても、単純にエンタメとしてめちゃくちゃ良くできてて面白い。個人的に一番好きなのはサイファーの裏切りでエージェントに追い込まれ、モーフィアスが身を投げ打って皆を逃すシーン。

「ウォアーーーー!!!」って気合いを入れて壁ブチ破るところ勇ましすぎるよね。この時の声がテキストでは表現できないのが本当に好き。

もちろん訓練シーンのやりとり、モーフィアス救出のためのハイパーガンアクションシーン、高速弾よけも最高だけどもうそこを挙げるのは野暮ってもんだ。

根底にあるのが極めて哲学的で、これからも証明しきれず、そして今まさに苦悩していることかもしれないだけに、この映画は永劫、廃れないものとして語れるだろうな。

どっから考えてもすごい映画だと思う。
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