Jimmy

悲しみは女だけにのJimmyのレビュー・感想・評価

悲しみは女だけに(1958年製作の映画)
4.3
シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。

杉村春子の存在感が凄い新藤兼人監督の未ソフト化作品。

この作品、現在シネマヴェーラ渋谷で開催されている『シネマヴェーラ的大映女優祭』のチラシには次のように紹介されている。
『新藤兼人の舞台「女の声」の映画化作品。三十年ぶりにアメリカから帰国した田中絹代と、金目当てで集まってきた家族の修羅場を描く。無能な弟に小沢栄太郎、姪に京マチ子、小沢の前妻に杉村春子、後妻に望月優子。苦いホームドラマであり密室劇の傑作』

こうやって記載されたら、観に行かないわけにはいかず、観に行った(笑)

本当に凄いホームドラマで、ビックリした。

物語は、夫(小沢栄太郎)と妻(望月優子)が酒場と称してパンパン屋を営んでいる。
その家に、30年前アメリカに渡って戦中戦後を迎えた夫の姉(田中絹代)が戻ってくる。
ここで田中絹代は、ところどころに片仮名の英語を入れるあたり面白い。なかでも「(アメリカから)ロングタイム飛行機に乗って来た」という単語などは笑える。

この物語の舞台は尾道。
そこに、アメリカ帰りのオバサンから「おみやげ(要はお金)」を貰おうと集まった家族(船越英二など)がズーズーシイこと。
京マチ子も帰って来るが、彼女はお金目当てでなく、男女間のもつれと言えばよいのか?

そして、何と言っても凄かったのが、やはり、杉村春子。
この人は、お金の話などさせたら天下一品(笑)
あの『東京物語』での母親亡くなってすぐに形見分けの話をするなど、他の作品でも飛び抜けて素晴らしい。(浪花千栄子と双璧をなす。)

いやぁ、本当に昔の日本映画は素晴らしく、こういう作品があるから止められない。
傑作でした。
Jimmy

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