ーNY市には昔、6つめの行政区があったらしいーとパパはいう。その第6区を見つける為に、パパは僕に“調査探検”を依頼した。僕は最高にワクワクしたよ。パパは僕が調査で人と話せる様に、僕の名刺を刷ってくれた。(人と話すことが苦手だとパパは知っていたからね)
パパはいつも僕の質問に答えてくれないんだ。ヒントを求めても、肩をすくめ首をひねってみせる。「さあね?」て感じで。(僕はその仕草が大好きなんだ…)
ある時「僕の考えの方向はあってるかな?」って聞いてみた。すると「間違ってるかな?と思うことでも、別の角度から見てみると、間違っちゃいないのさっ」なぁんて言う
ある晩、パパとママがこんな話をしていた。
ママ「あの子は毎日なにをしているの?」
パパ「なにをしているかだって?…見つけたら、自分で言うさ。あの子は公園を歩き回り、人に会うたび話をするんだ。最高の探検隊だよ!」
ママ「まだ10歳よ」
パパ「簡単じゃ意味が無い。楽をして大人になったら、どうなる?」
ママ「(笑)責任重大ね…」
ある日なんか、パパは、第6区の実在を示すヒントが公園のブランコにあるって言うんだ!ホントかな?
9.11ーアメリカ同時多発テローでパパを喪ったオスカーのお話
なんとも
こんなに色々考えた映画は初めてで
こんなにも映画的アプローチをしない映画も初めてで
鍵となる部分が鍵とならないのも初めてで
心がぐちゃぐちゃになったけど
でも、オスカーが
ある時は内からの激しい感情のままに、ある時は痛々しいまでに身を削りながら、それでも自分の中に自分の実在を見つけていく…
そんな様を追いかけ見つめる事ができて
私はこの映画に感謝しか無いのです。
もし良かったら皆さんも、心の準備が整った時にぜひご覧ください。