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親密すぎるうちあけ話のkuuのレビュー・感想・評価

親密すぎるうちあけ話(2004年製作の映画)
4.0
『親密すぎるうちあけ話』
原題Confidences Trop Intimes/Intimate Strangers
製作年2004年。上映時間104分。

税理士の事務所に、精神分析クリニックと間違えて入ってきた謎の女性が赤裸々に胸の内を語り、間違われた税理士が話を聴く奇妙な関係を築いていく。

作中、即席のセラピーを通じて税理士の心模様は、いつしか”医師(即席)”と”患者”の立場は渾然一体となっていく。
よく描かれるセックスだけに走る世界とは違う。
しかし、妙にエロく官能的。
善き時代に描かれて存在し得たプラトニックな愛なんやと思う。
また、刺したり刺されたり、殺したり殺されたりはないけどミステリアス。
今作品は、ミステリアスな女性の打ち明け話を、現代じゃ一見(一聴?)地味やけど魅力的な輝きを放つパスカル・エステヴの旋律はいやがうえにも盛り立ててました。
女の性愛への欲望と男の臆病さ、そのプラトニックな感情や心理を見事に音楽で演出してました。
最後の場面は、これまたパスカル・エステヴの旋律と共に、天井からのカメラアングルが、建築の平面図のように二人を映し出し、そこにキャスティングの文字が流れていく。
未来がある暗示の込められたこの場面を、是非とも最後まで観て余韻に酔いしれて欲しいです。
ミステリアスな女性を演してる美しきサンドリーヌ・ボネールの奥深い知性を感じさせる表情は、欧州人の心の襞の深さが感じとれたし、これを書いてるときでさえ、ふと酔いしれそうになる魅力です。
この作品は欧州映画の真骨頂とも云っても過言じゃないかなと私的ながら思いましたし、
勿論、税理士を演じるファブリス・ルキーニも欧州ならではの渋みがありました。
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