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クワイエットルームにようこそのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

4.1
『明日晴れるかな⛅️🌷』

GW4連休初日。2日の日の夜から奥さんの実家に来てます。正直言ってここに来てる時が一番心が落ち着き、気が休まるかもw あと、年末年始同様家からはポータブルDVD持参で📀そして、この映画は昨日の朝方お布団にくるまって観ました😺

松尾スズキが自身の小説を自ら監督したこの作品。内田有紀演じるフリーライターの明日香が、睡眠薬の過剰摂取いわゆるオーバードーズ状態に陥ってしまい、クワイエットルームと呼ばれる精神病院の閉鎖病棟に入れられてしまいます。あまりに特殊なその空間に、戸惑い、嘆き、絶望する明日香でしたが、その病棟で過ごす日々の中で人生を見つめ直す事になり...

彼が主宰する大人計画の舞台は、WOWOW等で何度か観た事がありましたが、この映画は良い意味でその先入観を裏切ってくれる作品でした。人は誰もが悩み、またどこかしら病んだまま日々を過ごしているのだと思います。“なのに”SNS上には、日常の良い面ばかりが溢れている。ボク自身、今はそこに虚しさを感じる心持ちになってしまっているので、思いきってインスタをやめ、Facebookはほとんど見なくなってしまいました。

桑田さんの『明日晴れるかな』という歌に「神より賜えし孤独やトラブル」という一節があります。孤独やトラブルといった本来望みたくないはずの状況を、あえて“賜えし”とこの歌で表現した桑田さん。恩恵なんて感じる事が出来ないはずのその状況を何故あえてそう表現したのでしょうか?発売された頃は、特段好きと感じていたわけではなかったこの曲。でもシングル曲の中ではとても人気がある。これが答えかどうかは分からないのですが、その理由を垣間見る出来事がありました。

昨秋、桑田さんソロツアー初日。
アンコールラストにこの曲が演奏されました。一番のAメロを自分の声だけで、アカペラで歌い始めた桑田さん。すると、すぐそばのご夫婦連れの奥さんの方がステージを観ながら、肩を震わせボロボロと泣き始めました。そしたら、それを観ていたボクもボロボロと涙が溢れてきたんです😭


この歌は、直接「ガンバれ!」と背中をグッと押すような、俗に言う応援ソングではないと思います。ただ、その代わりどんな状態であれ“現在(いま)”の自分を優しく包み込んでくれ、そして「明日晴れるかな...」と断定ではない言い回しで、まだ訪れてはいない明日に対し共に希望を馳せてくれる、そんな優しさに満ち溢れた歌だと思いました☺️

人それぞれ求めるものは違うかもしれませんが、ボクの場合歌や映画に単なる楽しさも求めつつ、それ以上に救いであったり、希望であったり、そしていろんな意味で現実逃避を求めてしまっている時があるかもしれません。この映画は、らしい笑いもまぶしつつ、最終的には『明日晴れるかな』同様の優しさとほのかな希望が感じられる素敵な作品になっていると思います。

あと、ボクが人生で唯一写真集を買った位好きだった女性(ひと)、それが内田有紀。つかこうへい劇団での演技経験が間違いなく活きた熱演だと思いますし、それまでの彼女のイメージに全く頼らない役柄で、これだけの魅力を引き出した監督の手腕は素晴らしいと思います。これは間違いなく彼女の代表作に挙げるべき作品になりましたね🐼✨
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