黒沢清の演出はやはり巧みだ。
黒沢清の作り出すダークな雰囲気の作品は大好き。
単なるホラーの空気感とも違い、サスペンスフルで、湿度の高く翳りのある、空気の重い世界観が良い。
おそらく当時から急激に日常生活に定着し始めたインターネットを、幽霊と織り交ぜホラー映画に取り入れた作品。
そういう意味では『着信アリ』などともテイストは似ているのかもしれない。
やはり本作は質感もよく、日本ホラーの名作と思う。
ハイテクなデジタルと日本の伝統的でオカルトチックな要素の組み合わせは面白かったが、映像的な面もあり、幽霊という存在があるというリアリズムはあまり感じられなかった。
思いの外ファンタジーっぽくなったというか、少し怖くあるべき部分で怖さに欠けたように思う。
人間の怖さを描いた『CURE』と比べて怖さに欠けたのがよく分かる形になった。
霊的な部分が少しチープに感じてしまった。
でも黒沢清らしく、かなり良質なホラーで面白かった!