あなたは幽霊に会いたいですか？
幽霊と言うあの世の住人達がインターネットを使って現世を侵食しに来る黒沢清監督のホラー。
人生でそれっぽい物が近くにいるぞと言う怖い体験をした事が私にも何度かある。なんと言ったら良いだろうか。ああいう本当にヤバイものって近くにいたら－+－で結局マイナスにしかならん嫌な気分になるっていうか弱肉強食の野生の世界で言う被食者達と同レベルの危機関知能力が働く様になるんですよね。
つまり何が言いたいんやと言うと黒沢清監督が描く幽霊達ってそれらと同じ位ヤバくて怖いって思えてしまうと言う事。派手な演出こそないがその人の世界を確実に侵食していく恐怖である。
本作はそんな黒沢清監督の幽霊像から作り出した死者達が人は死ぬ時は1人になって死んでいくと言う事を突きつけてくる、全ての人間が平等に抱えている悲しき宿命を描く事で人間にとっての最大の恐怖は孤独なのだと言う事を浮き彫りにする。ある意味で死ぬ事よりも恐ろしいこの世の果てを描き切ったラストには言葉がでずただただ感服するばかり。
終盤のホラーの枠を越えたとんでも展開には好き嫌いが割れるでしょうしお話としては粗もありますが黒沢清監督自身の死生観を映像作品として垣間見れる
のは面白い事この上ない。
人間にとって一番地獄だと思う場所は意外と近くにあるかも知れないと思うと観賞後は鳥肌が止まらなかった。
