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俺たちに明日はないのYYamadaのレビュー・感想・評価

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
3.6
【ロードムービーのススメ】
 ~旅を通じて人生を紡ぐ~

◆旅の目的
 強盗活動と逃避行
◆旅の工程
 テキサス州、ルイジアナ州一帯

〈見処〉
①「アメリカン・ニューシネマ」の
  先駆的作品
・『俺たちに明日はない』(原題:Bonnie and Clyde)は、1967年にアメリカで製作された、大恐慌時代のアメリカに実在した強盗カップル、ボニーとクライドの破滅的な青春を描いた、アメリカン・ニューシネマの先駆的な犯罪映画。
・舞台は世界大恐慌後、1930年代のテキサス。退屈な日々に悶々としていたウェイトレスのボニー(フェイ・ダナウェイ)は、自宅の自家用車を盗難しようとしていた刑務所帰りの青年クライド(ウォーレン・ベイティ)に興味を抱き、それ以来行動をともにするようになる。
・各地で盗んだ車で移動しながら銀行強盗を繰り返していく2人に、ガソリンスタンドの店員C・Wやクライドの兄バック(ジーン・ハックマン)と彼の妻ブランチ(エステル・パーソンズ)も一行に加わり、5人組強盗団として世間から注目を浴びる存在となるが…
・壮絶なラストは映画史に残る名シーンとして有名、主演のウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイを一躍スターの座に押し上げた。また、第40回アカデミー賞では、作品賞を含む10部門にノミネートされ、撮影賞とともに、フェイ・ダナウェイと対照的な一般人ブランチを演じたエステル・パーソンズが助演女優賞を受賞。
・本作のヒットにより、ベトナム戦争末期で若者たちの反体制的な思想が結実した「アメリカン・ニューシネマ」が確立。
・配給会社ワーナー・ブラザースは本作を「B級映画」としか考えておらず、ウォーレン・ベイティに最低賃金を払う代わりに、映画の利益の40%を支払うという前代未聞の条件を提示していた。結局この映画は5000万ドル以上を売り上げ、ベイティも一財産を築くことになったそうだ。

②「性的」「バイオレンス」先駆的作品
・アメリカでは、1968年まで「ヘイズ・コード」と呼ばれる自主規制条項が存在。
これにより「キスは3秒まで」「男女同じベッドはNG」「銃と撃たれる人間を同じ画に入れてはいけない」などの制約があったが、その多くのタブーを破ったのが本作。
・有名なラストシーン(通称「死のバレエ」)
においても、アーサー・ ペン監督により『テレビでケネディ大統領の頭が撃たれたところや、ベトナム戦争でも死体の山を見てるじゃないか』とリアリティーを求め、そのために血が飛び出る仕掛けが開発されたそうだ。
・本作の革新的な取り組みが70年代以降のバイオレンス作品に繋がっていく。

③実話に基づくストーリー
・1930年代前半、世界中に大恐慌の嵐が吹き荒れるアメリカ。1910年生まれのボニー・パーカーと1909年生まれのクライド・バロウは実在の人物で、在命当時から有名人。「悪名高いカップルを見てみたい」町の周辺をうろついた人々は1万6000人に上ったそうだ。
・ボニーとクライドの遺体は、葬儀のためダラスへ運ばれた。ボニーの葬儀に押しかけた人の数はおよそ2万人に上ったようだ。
・また、ボニーとクライドを追うテキサス・レンジャーをケヴィン・コスナー&ウディ・ハレルソンが演じた、NETFLIXオリジナル作品『ザ・テキサス・レンジャーズ』(2019)も観ておきたい(まだ観てません)

④結び…本作の見処は?
○: 悪人を応援したくなる最初の作品を堪能したい。
○: 男勝りながら、フェロモン溢れるフェイ・ダナウェイは現代でも通じる美しさ
▲: とはいっても、半世紀前の作品。『トゥルーロマンス』や『ナチュラルボーンキラーズ』に馴れている現代人には少々刺激不足かもしれない。
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