クマヒロ

2001年宇宙の旅のクマヒロのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
5.0
完成されている!
宇宙の壮大さ。生命の根源、内面を知る。

2019年現在でも明らかになっていない、まるでブラックボックスかのような宇宙。
1968年にはもっともっと知られていないことが多かったであろう、キューブリック監督が2001年に託した映画のようにも感じる。

生命体が生まれる奇跡、文明が生まれる奇跡にある黒い板、黒という色から宇宙が連想される。しかし、明らかに異質な存在。
宇宙の人知を超えた力によって地球、月、木星に生命体が生まれていく。

あまりにも大胆で、笑ってしまうような曲やクラシック音楽は生命の誕生や、文明の誕生を祝う際に用いられ、大げさなようだが、表現として卓越していた。

AIの恐ろしさという部分は今まさに唱えられていることであるが、今作品ではまさにリアルに、しかもまるで感情を持つかのように描かれていく。

ブラックホールに吸い込まれていくシーンでまるで、コンピュータの中に入れられたような電子的な映像、生命の根源かのような映像を見せられることにより、私たち自身もプログラミングされて生まれた生命体のように感じる。
AIの恐ろしさにはとどまらず宇宙の恐ろしさ、その宇宙によって生み出された私たちの恐ろしさを感じる。

そう考えると人自身が宇宙。
人に宿る赤ちゃんが生命体というふうに捉えることもできる。
宇宙は無限に広がっていく。

セットの美しさも芸術の域に達していた。
近未来を想像したセットはもちろんのこと、円柱を横に傾けたような宇宙船のセットはどのように考えついて、どのように撮影したのか、想像もつかなかった。
あとあまりにもぶっ飛んだ未来表現は今となれば笑える。

音の演出による宇宙の恐ろしさは一級品。

面白い表現も多く、AIのランプがまるで目のようであったり、ポッドと宇宙船の対比が人間とAIの知能差や、切り離された人間を表現しているようで面白かった。

自分は以上のような解釈だったけど人によってかなり解釈は変わる作品だろうし、自身の価値観で見ることが大事な作品だとも感じた。
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