千年女優

さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌の千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
音楽の先生から習った『めんこい仔馬』のメロディを気に入って、図工の課題「わたしの好きな歌」に選んだまる子。おつかいで母方の実家を訪ねた際に出会った絵描きのお姉さん・木村しょう子からその歌が元は戦意高揚歌なのだと教えてもらって以後も絵を通して交友を育む彼女が、やがて訪れる別れと向き合う様を描いたアニメ映画です。

さくらももこのベストセラー漫画を原作として長年続く日曜夕方のアニメ放送で国民的な支持を得る『ちびまる子ちゃん』の劇場版となる1992年公開の作品で、さくらももこ自身が実体験をベースに書き上げたエッセイを膨らませた物語を監督の須田裕美子や芝山努を始めとしたテレビアニメのスタッフで映画化して観客からの好評を得ました。

家族向けアニメがベースとあってお馴染みの演出にはくどさがあるもののだからこそ生まれるユーモアでウェットになり過ぎないバランスを実現します。戦争の歌だからとイデオロギーで一刀両断するではなく大なり小なりある人生におけるいかようにもできない別れをピックアップして抱いた優しさや温もりを繋ごうとする心温まる一作です。
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