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名もなく貧しく美しくのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

名もなく貧しく美しく(1961年製作の映画)
3.3
太平洋戦争末期から終戦後の苦難の時代を生きるろうあ者の夫婦の姿を愛妻・高峰秀子と小林桂樹の主演で描く。
(1961、モノクロ)

3歳のとき高熱にかかって聴覚を失った秋子(高峰秀子)は、寺の住職のもとに嫁いだが、戦後夫が急死すると離縁される。
秋子は実家に戻るが、優しい母(原泉)と違い、姉の信子(草笛光子)と弟の弘一( 沼田曜一)は冷たかった。
ある日、ろう学校の同窓会に出た秋子は受付係をしていた片山道夫(小林桂樹 )と出会い再婚する。
しかし、生まれた子ども一郎(1年生- 島津雅彦、5年生-王田秀夫)が母の障がいを理由にけんかや反抗を繰り返したり、ヤクザな弟のために金銭的に行き詰まるなど、多くの困難に見舞われる…。

~他の登場人物~
・孤児、上野アキラ(成人は加山雄三)
・洋服店主(多々良純 ):秋子の内職の元請け。

「私たちのような者は、一人では生きていけません。お互いに助け合って…普通の人に負けないように生きていきましょう」

高峰秀子と小林桂樹の手話の内容が字幕で表示され、前半はちょっとサイレント映画の雰囲気がある。
"清く、正しく、美しく"という言葉が過去のものになりつつある現在だが、戦後の混乱期を生きるろうあの高峰秀子と小林桂樹の2人が善良で心のきれいな人物として描かれ、感涙を呼ぶシーンが何ヵ所か見られる。
ただし、加山雄三登場直後のストーリー展開は唐突な感じが否めないのではないだろうか?
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