一人旅

我等の仲間の一人旅のレビュー・感想・評価

我等の仲間(1936年製作の映画)
4.0
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作。

宝くじの賞金でレストランを開こうとする5人の男の友情と破綻を描いたドラマ。

フランスの巨匠:ジュリアン・デュヴィヴィエがシャルル・スパークの原案を基に名優:ジャン・ギャバンを主演に迎え39歳の時に撮った作品で、賞金10万フランの宝くじに当選した5人の男が、川辺の一軒家を改装してレストランをオープンしようと奮闘していく中で、金銭問題や女性問題の露呈によって当初の友情が少しずつ壊れていく様子を活写した、シビアな味わいの男子友情&破綻譚が語られています。

宝くじ当選という人生を一変させる幸福な出来事に浮かれ悦ぶ5人の男は固い友情で結ばれていましたが、レストランを開くという共通の目標を実現するため一致団結して取り組む内に男達の関係性に変化が訪れていきます。欲望に駆られて仲間の女房を寝取ってしまったり、警察から追われる仲間が旅立ちを決意したり、仲間の一人に予期せぬアクシデントが起きたりと彼らの間に巻き起こる幾つもの出来事によって固い友情で結ばれていた5人の心は次第に散逸していきます。

大金が転がり込むことが5人の幸福に必ずしも直結しない―人生の予測不能性&難しさと、友情を阻害する個々の欲望、愛、嫉妬が次々に浮かび上がっていく、デュヴィヴィエらしいシビアで悲観的な人生譚になっています。主演のジャン・ギャバンが夢実現に邁進する主人公を名演していますし、ファムファタール的悪女を演じたヴィヴィアーヌ・ロマンスの存在感も抜群であります。
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