滝和也

悪魔の往く町の滝和也のレビュー・感想・評価

悪魔の往く町(1947年製作の映画)
3.8
円環する業(カルマ)

強欲と言う魔に
魅入られし男の
末路は恰も無限に
輪廻する地獄の行の如し…

ギレルモ・デル・トロが
リメイクした元作…

「悪魔の往く町」

う〜ん、中々怖い怖いお話ですよ。これは…。昔のお伽噺や童話の怖さと言うか。それって信賞必罰、因果応報なんですよね。その退廃的で堕ちていくギミックが見事な作品でした。

スタンは旅回りの演芸団の下働き。見世物小屋のオオカミ男から奇術まで雑多な芸を見せる団の中でジーナとピートのリーディングマジックを手伝っていた。酒浸りのピートに苦労していたジーナに取り入り、ネタである暗号を教えてもらおうとした矢先、ピートはスタンの不注意からの事故で死んでしまう…。誰にも知られずにジーナの相棒となり人気を博すスタンだったが…若く美しいモリーに手を出してしまい、二人は団を追い出され…。

この演芸団の猥雑な雰囲気がノワール的で良いですよね。何よりその前半のストーリーが前振りとして効いている。

団を放り出されても、身についた芸で一旦成功するものの…そこでやめとけば良いのに…あぁ強欲。最早止まらないわけです。人間たるもの…奢り高ぶり、周りを舐めてはいけないですよ…。

まぁ当然、因果応報。そこで落っこちていく場所やシチュエーションが圧倒的にトンチが聞いていて、これぞお伽噺や童話並の見事な教訓を与えてくれる…ラストの背伸びしすぎたんだよのセリフもドンピシャでした。この部分が正にカルマや地獄の行みたいに見えて寒々とした怖さがありました…。

タイロン・パワーがスタンを演じてますが、比較的甘い二枚目イメージで今まで旨さを感じたことは少ない方でしたが、情婦と並んで、これはベストアクトな気がします。また彼をかこむ3人の女性が皆美人で…特にモリー役は美女でした。

ギレルモ・デル・トロがリメイクした作品はブラッドリー・クーパーが主演になっているのですが、これ合ってそう。また高い美女のハードルもモリー役にルーニー・マーラ他豪華キャストらしいので見てみるつもりです。
滝和也

滝和也