ジュリアン

M★A★S★H マッシュのジュリアンのレビュー・感想・評価

M★A★S★H マッシュ(1970年製作の映画)
4.9

ニューシネマ時代のカウンターカルチャーが影響してか、軍隊が下劣で無規範の集団として描かれている。ヒロイズムによって過度に美化した戦争映画とは異なり、ありのままの姿を捉えているようで実に良かった。『フルメタルパニック』や『地獄の黙示録』の10,15年前に制作されているのだからすごい。

この映画がコメディ映画として秀逸なのは常軌を逸したブラック・コメディを開示するたびに、反戦ムードが浮かび上がっているところ。制作会社には愛国映画だと伝えて撮ったという話だから面白い。

その他印象深かったのは、ホモセクシャルに目覚めた軍医がそれを治らない精神障害と認識し、自殺しようとするシーン。スクリーンに同性愛者を写せなかったヘイズコード時代から前進してはいるが、カリカチュアに描いている点ではクラッシックで時代性を感じる。

クラシックといえば、時代設定が朝鮮戦争中だからかラジオから流れる音楽は日本の歌謡曲。劇中たびたび反復するように流れるので異化されて聞こえるが、アメリカ人はどう思ったんだろう。ベトコン映画の現地曲みたいなもんなのかな。

僕も嫌な上司に出会ったら、この映画の嫌な上司のセックスを基地内放送に流して転属させるシーンをもう一回見よ。