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33号車応答なしのHKのレビュー・感想・評価

33号車応答なし(1955年製作の映画)
3.8
『銀嶺の果て』『愛と憎しみの彼方へ』などの谷口千吉監督による日本映画。キャストは池辺良、司葉子、志村喬などなど

クリスマス・イヴの夜、パトロール・カー乗務の警官である男が夜勤勤務に行こうとしたが、妻はそれに対して不満を抱いていた。初めて喧嘩をして出てってパトロールに向かったその日、スピード違反をしている車と遭遇する。乗っていた女性はハイテンションで彼らに接するのだが…

谷口千吉監督による娯楽サスペンス映画の一つ。当時のパトロールカーでの指令センターとの無線での会話のリアリティとか、どれだけ当時の警察に寄せてるのかは分からないけど、すごい見ていて細かなギミックに引き込まれた。

序盤と最後でしっかりと日常風景に帰還した後に凧揚げとかしているだけで彼らがもう大丈夫なように描くのがやはり当時の東宝の凄さというか、やはりそこが素晴らしいと思いましたね。司葉子は当時からやはり綺麗。

池辺良と志村喬の凸凹コンビがとても良い。生真面目な池辺良と定年間近で若干気の抜けている志村喬との気の抜けた車内での会話シーンも含めて色々と見ごたえあり。

物凄い明るいテンポで前半は描いているものの、一家心中してしまった家族などを映すなど、所々でショッキングな描写も魅せる。しかし、それでも物語が鈍重になることなく軽快なテンポを維持しているのがとても良い。

ラジコンカーとオウムを用いた伏線回収のシーンは見事としか言いようがない。終盤でそれが明らかになってからの怒涛の展開もとても良かった。車のナンバーとかで判明する所とかも良かったですね。

平田昭彦の狂気の演技も相変わらずで良かったですけど、根岸明美の演技も良かった。車内でのピストルの扱い方とかもなんかかっこいい。

終盤では工場で池辺良と平田昭彦がもみくちゃになってとアクション方面でもまあまあ面白かったですね。フィルムが経年劣化で傷んでおりちょっと台詞が飛んだりしてしまったのが残念ですが見れて良かったと思います。

バーでのおじいさんの絡みとかも面白い。なんか妙に秋田弁がコミカルで面白かった。土屋嘉男は今回も登場でなんか馬車を引いていた。土屋嘉男本当にこの頃の東宝映画によく出てきますね。

谷口千吉監督の作品てソフト化されている作品が少ないためにもっとソフト化してほしい。お願いしますよ。
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