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セラフィーヌの庭のぴろぴろのレビュー・感想・評価

セラフィーヌの庭(2008年製作の映画)
3.6
2008年度のセザール賞では7部門を制したという、フランスの女性画家セラフィーヌ・ルイの生涯を描いた映画。 彼女の事を私は知らなかったが、「女ゴッホ」とも呼ばれるという彼女が遺した作品を 映画の中で見る事が出来て、その力強さと躍動感と独特な色彩が放つ激しさに惹かれ本物も見てみたいと思った。 家政婦をしていたセラフィーヌは貧しい暮らしの中で、作れない白色以外は泥や植物の汁、動物の血液など自然界にある物を使って油に混ぜ、独自の絵の具を作り描き続けていたという。 信心深く純粋無垢な彼女だから描ける世界、見える色があるのだろう。
貧しかった彼女が、生きている間に画家として画商ウーデに見出されるところに ご縁とか運命を感じた。 だけど、認められて生活が潤って来ると、どこかが違って来る。 手にした事がないモノを手に入れると、純真なセラフィーヌも変わってしまう。 やがて戦争や世界大恐慌という時代の波に翻弄され、精神を病んで行くセラフィーヌが切ない。
晩年を精神病院で過ごしたというセラフィーヌの人生を考えると、画家としての成功がもたらしたものは、果たして彼女にとって幸福だったのか。 中年のおばさんなのに純真な少女の様で、だけど次第に精神を病んで行くセラフィーヌを、迫真の演技で見せた主演のヨランド・モローに引き込まれ、ラストシーンが美しくて、良質な映画を観ました。
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