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タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツらのkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』
原題Tucker and Dale vs Evil.
映倫区分R15+.
製作年2010年。上映時間88分。

休暇を過ごすため森へやって来た2人の男が、キャンプ中の若者たちに凶悪な殺人鬼と勘違いされたことから巻き起こる騒動を描いたスプラッター・コメディー。

思わぬ誤解から死人が続出する事態に陥っていく気のいい中年男2人を、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のタイラー・ラビーンと、『3時10分、決断のとき』のアラン・テュディックが演じる。
血みどろ残虐描写の連続など、従来のスプラッター映画のイメージを覆す前代未聞の展開に爆笑必至。

今作品は、『死霊のしたたり』を彷彿とさせる見た目とスタイルやけど、予想された固定観念を完全に覆すことで、さらに一歩踏み込んだ風刺作品になってました。
思い込みホラーに風穴を開けてくれるほどのモンでした。
大量のホラーゴアと大爆笑で楽しませてくれるるし、同時に貴重な教訓も教えてくれる(安っぽい云い方やけど)。

ウェストバージニア州に住む、善意に満ちた、しかし社会的には純朴なヒルビリアン(山間部に生きる人)。
彼らは最近、釣りや休暇を楽しむために森の中の小屋を購入した。
小屋での生活を楽しんでっと、視野が狭く、表面的に薄い大学生たちと出会う。
デイルはすぐにアリソン(カトリーナ・ボウデン)という女子に夢中になるが、恥ずかしさと気まずさで話しかけられない。
彼女が湖に落ちて気絶してしまったため、二人は彼女が意識を取り戻すまで自分たちの小屋に連れて行くことにした。
彼女の友人たちは、彼女が誘拐されたと勘違いし、タッカーとデールがサイコな殺人者だとすぐに結論づけ、自らの手で彼女を救出することにした。
誤解が次の誤解を生み、大学生たちはショックを受けた田舎者たちを襲い、その過程で誤って自殺してしまい、タッカーとデールが自分たちを追いかけている異常な殺人者であるという確信を深めていく。

今作品は先に述べたように大きな笑いに満ちており、血みどろのシーンもありますが、それはほとんどが事故死(非常に暗いコメディタッチで演じられています)であるということです。死のシーンは『FINAL DESTINATION』を彷彿とさせるけど、より風刺が効いてましま。
今作品は、人々の偏見や固定観念を利用している点がメチャクチャ嵌まりました。
怖いとか気味が悪いと思われている人たちてのは、彼らを恐れるよりも、そう指を指す者を恐れることの方がはるかに多いということを示してる。
世の中には、多くの人が気づかないほどの差別やヘイトクライムが存在し、それはほとんどの場合、意識することなく行われてる。
それがこの映画のメッセージであり、非常にコミカルな手法で描かれていますが、そのメッセージは驚くほど心に響くものでした。
個人的には、主演のテュディックとラビーンは素晴らしく、監督と脚本も最高の出来なんかなぁと。
今作品は、もう一度見るのがとても楽しみな作品であり、登場人物を再登場させる続編を見るのも同様に楽しみですが、ホラー・コメディとしての完成度の高さを実感していました。

ホラーて、例え確りとした作品やったとしても一般的に格落ちされてる。
それってのは、色んな要因はあるとは思うが、その一つに、悪との戦いを絶対的なものとして想定しているからじゃないかなぁ。
今作品が提供してくれたものよりも、人生てのは、もっと複雑な闘いであることを観客の多くが知ってる。
重要なホラー映画はすべて、本当のホラーが組み立てられる場所に一歩近づくことで革新をもたらしてきた。
望んだからこそ。
当時、十分に重要なこと。
能的な行動に悪意はないが、無意味な大混乱の世界を想定した等々。
また、目に見えるあらゆる歪みを心の目の網膜に戻している。
ホラーは、拷問された魂から裏返った視覚的表現であったと思う。
一連の不幸な出来事の外には、悪は存在しないと多くが理解してるから。
そこにあんのは、状況と、一連の状況がどのような意味を持つべきかちゅう、組み込みの概念だけ。 
映画は知っていると思い込む世界をあまりにも深く飽和させてしまったため、知っていると主張していることの多くは、映画や小説から知っていることなんかも知れへん。
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