スローモーション男

マタンゴのスローモーション男のレビュー・感想・評価

マタンゴ(1963年製作の映画)
4.5
本多猪四郎が放った異常すぎる映画

若い男女6人が船で難破し、無人島にたどり着く。そこにはキノコが生えていてそれを食べたら…。
食料がなく極限状態になっていくなか、理性を失っていく様が恐い。それを子供向けの特撮映画でやってしまうのだから。

こんなの子供の時に観てたらトラウマになってた。恐いし、しかもエロい…。水野久美が異様すぎる。

でも本多監督の作家性がむき出しになった映画だ!
あのラストシーン、一人助かった男が精神病院で独白する。「僕は彼女を救えなかった…。僕もキノコを食べれば良かったんだ!」本多作品は叶わない愛のラブロマンスが多いですね。
あと、この文明社会は狂ってるのでないのか?あの島にいたほうが良かったのでは?と問いかけているのは54年の『ゴジラ』からテーマが変わっていない。
そんな本多猪四郎のこの世は狂っているという本音が分かった映画でした。