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万事快調のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

万事快調(1972年製作の映画)
4.0
【ウェス・アンダーソンのルーツか?】
動画版▼
https://www.youtube.com/watch?v=NOnbbEe5wD4

ジガ・ヴェルトフ集団時代のゴダールを追っている。『ジェーンへの手紙』を観た時、どうやら『万事快調』に触れないといけないような気がしたのでDVD-BOXを購入して鑑賞してみた。驚いたことにウェス・アンダーソンのルーツらしき構図とエンカウントしたのであった。

ヌーヴェルヴァーグは、従来のセットによる撮影を批判し、ロケで映画を撮る運動だったように思う。だが、本作を観るとまるでラース・フォン・トリアーがドグマ95を打ち立てるも、すぐにやめたようなイメージを彷彿とさせる。つまり、『万事快調』がゴリゴリのセット映画なのである。取材に来るも、ストライキに巻き込まれてオフィスに閉じ込められた者の話。オフィスには様々な階層の人がおり、その対立を映画的運動で表現する。その運動の手法として、ドールハウスのように壁をぶった切った空間を横移動させながら描くのである。壁は、漫画におけるフレームのような機能を果たしている。そして、階層という箱を破壊する形でストライキ像を捉えようとしているのだ。この擬似スプリットスクリーンの手法はウェス・アンダーソンが頻繁に使っている。恐らく、彼は『万事快調』に影響を受けているのだろうと感じたのであった。
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