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キャバレーのRのレビュー・感想・評価

キャバレー(1972年製作の映画)
5.0
うっっっっわーーーーーーーー!!!😫😫😫 やられたーーーーー!!! 素晴らしすぎた!!!👏 幼少期からその存在を知っていながら長い長いあいだ関心を向けたことなかったし、見る前もまったく期待してなかったけど!!! まさかこんなに素晴らしいとは!!! しかも、この映画、最近見て最高に好きになったとある映画にめちゃくちゃ似てる!!! 何の映画に似てるかは最後に触れたいと思います。ミュージカル映画って、苦手な人けっこう多いと思うんですが、本作は、突然ドラマの途中でだれかが歌い出す、みたいな超現実的なミュージカルではありません。キャバレーの舞台での演目の部分だけがミュージカル。しかも、キャバレーの狭苦しいステージ上で繰り広げられるパフォーマンスの素晴らしいこと! ポップ系のアーティストで豪華絢爛なステージングをする人いるじゃないですか、僕が大好きなのはMadonnaですが、ほかにもGagaとかブリトニーとかマイリーとかビヨンセとか。そういう人たちのやる大規模なライブパフォーマンスの場末キャバレーバージョンといった感じのステージングがマジでかっこいい!!! ステージ上の女たち、トランスウーマン、MCのおじさん、そして、主演のライザ ミネリ、皆さんのコレオグラフィーが極上のすばらしさ!!! フィッシュネットにガーターベルトの下品極まりない格好で、どぎついメイクを塗りたくって、魅惑のムーヴに体にくねらせる女たちのクールなこと!!! 画面にくぎ付けになりながら気づけばブラヴォーーー!!!と声援をおくっていた。そんなキャバレーがあるのが、1930年代ベルリン、芸術的自由と性的奔放で熱に浮かれた人々が夜な夜な大騒ぎしていた時代。主人公は、映画スターとしてのキャリアを夢見て、アメリカからやってきて、下積みとしてキャバレーで踊り子をしているサリー。演じるライザミネリのあまりにも個性的な顔面! 一目見たら忘れられないすごいインパクト! 左右に離れたつぶらな瞳、時計仕掛けのオレンジのまつ毛を両方にほどこしたピエロのようなアイメイク、極端に短い鼻、横に広く裂けてにかっと笑う口、まるい頭部を和田アキ子のように短く覆うショートヘア。てか、和田アキ子ってこの映画を見て相当この人に憧れたんじゃないかな。最後の歌は歌い方すらかなり似てる! とにかくどぎつい存在感を全編で放ちまくっている。すごい女優であり、すごい演技。そんな彼女に出会い、彼女のアパートで間借りをすることになるイギリス出身の地味な男ブライアンは、博士号を取るまでの間、ドイツ人に英語を教えて稼いだ金で、自分の負担分の家賃を払って暮らすことになる。あらゆる面で刺激的なサリーとは正反対、まじめで勤勉な男で、サリーが先に彼に恋に落ちるんやけど、ブライアンは、今まで女と数人かやろうとしたけどダメだったんだ、と打ち明ける。あらー、ゲイなのかな彼は。なるほど、当時のイギリスは同性愛が違法だったというのもあって、性的に自由なベルリンにやってきたのかもな、と思っていると、なんと、サリーとはまんまとできてしまって、あ、何やゲイちゃうんかい、とひと安心。そんな彼らに混ざってくるのが、サリーの友人でドイツ人のフリッツと美しいユダヤ人のお嬢様ナタリア。ブライアンの英語レッスンを受けるナタリアにブリッツが熱を上げゆくロマンスが展開しながら、サリーとブライアンの間に入ってくる美しく裕福な男爵マクシミリアン! この人のスワーヴな物腰とセクシーな表情がとても色っぽく、おお、なんということだ。。。と思っていたら、3人は非常に仲良しになっていき、だんだんとサリーの心がマクシミリアンに傾いていく…⁈ という展開になるかと思いきや、3人が一緒にダンスするシーンの、あ! これはただ事ではない! と予感させる、緊張感みなぎるスリリングなショットには大興奮!!! 案の定、ただでは終わらなかったけど……といった流れで、全体的に小気味良く、のんきなラブコメディーになっているんだけど、ところが、そのあいだ、あいだ、ところ、どころに、とてつもなく不吉で危険なショットが挿入されるのです。そりゃそうなのですよ、思い返してみると、1930年代ベルリンと言えば、あれです、あのとんでもない集団が現れる時期。それが前半からすでに、ちらっちらっとちらつかせ程度だが出て来る。あまり目立たない、何気ない挿入なんやけど、歴史を知っているこちらからするとあまりにもとんでもない。だから、このラブリーなロムコムを見てる間中ずっと、頭の片隅に嫌な予感がこびりついて離れない。特に、町のみんなが集まって食事をとっているところで、ひとりの少年が、美しい歌声で歌を歌い始めるシーン。のどかでいいな、と思って見てると、少年のアップからだんだんカメラが引いていって、上半身が見えたとき、アッ! そして、彼に合わせて若い世代が力強くその曲を歌い始めるときのゾクゾク感……すごいですね。ここから数年後には、自由を謳歌していた浮世ベルリンの街がすっかり姿を変えてしまっているだろう………歴史の激動直前の浮かれた恋のから騒ぎ。ある恋はほろ苦くおわり、ある恋は実を結ぶ、その恋は、人生の楽しさそのものだった、自由そのものだった、その哀しみは胸が締めつけられるほどあまりにもビターで、しかし果てしなくスウィートだった。そんな人生の輝きを、ライザミネリが素晴らしい存在感と歌唱力で高らかに謳いあげるエンディング………と思いきや、そのあと、いちばん最後に、アっ!と戦慄で幕を閉じる恐ろしさ……す……すごい……あまりのおもしろさにぶるぶる震えがきました。滅多に起こらない全身アドレナリンドライヴが!!! いやー、マジですごかった! こんなに完璧な映画だったとは!!! そしてこの感想文の最後に、本作を見ている間、ずっと頭の片隅に思い浮かんでいた映画、それは去年観てあまりの面白さに感動したワンスアポンアタイムインハリウッド。本作にめちゃくちゃ似てないですか。本作はまさに、ワンスアポンアタイムインベルリン。その甘さ、苦さ、辛さ、不味さ、存分に味わうことができました!!! こいつは確実に映画史上最高傑作のひとつだと宣言します!!! 我がトップ10にも確実に食い込んでくるでしょう!!! まだご覧になってない方は是非!!!
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