マイケル・ケインがジュード・ロウと共演したリメイク版を観ている方が多いと思うが、オリジナルはこの1972年版。
老推理作家のローレンス・オリヴィエと彼の妻を寝取った若い男マイケル・ケインによる頭脳合戦を描く。二時間八分の長丁場を二人だけの会話劇で持たせちゃうのが凄い。
元々が舞台劇ゆえ、映画らしさにはちと欠けるが、ゲーム的な要素が詰まった作品であり、この手のジャンルが好きなひとにとってはタマラナイ映画だと思う。
ネタばらしになっちゃうので、内容はこの辺にしといて…
ちなみに監督は「三人の妻への手紙」「イヴの総て」「裸足の伯爵夫人」等で50年代ハリウッドの寵児だったジョセフ・L・マンキーウィッツ。
不幸なことに「クレオパトラ」の興行的失敗によりキャリアが低迷してしまい、作品に恵まれなくなったが、そんな時に作ったのが本作。
事実上、これがマンキーウィッツの遺作となったが、それでもアカデミー監督賞にノミネートされるなど大健闘し、キャリアの最後を飾る代表作となった。
とは言うものの、一時はビリー・ワイルダーと並び、ハリウッドを代表する脚本家兼監督として成した人にしちゃ、本作の脚本を全然別な人が担当している点について、ふと一抹の寂しさを覚える。