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私の好きなモノすべてのsonozyのレビュー・感想・評価

私の好きなモノすべて(1993年製作の映画)
4.0
スロバキアのマルティン・シュリーク監督作。
バツイチで失業中の中年男トーマスの、諸々問題抱えてる日々を細かな章立て(21章)で描く、可笑しみと哀愁漂う作品。

1.夜明け: 美しい朝日が昇る湖畔に車を止め泳ぐトーマス。(この場所はラストにも登場)

2.断食: 女のいるアパートを訪ね、「やらせろ!」と襲いかかるトーマス。ん?どういうこと???
実は、彼女はアンというイギリス人英語教師で、英語の練習をしていたようだ。笑
トーマスはアンと付き合っていて一緒にイギリスに行く予定。
で、唐突に40日間の断食を宣言。血が浄化され細胞が再生され生まれ変われるんだと。
・・・

以下、章タイトル。
3.屋外でのペンキ塗り
4.息子
5.気球のある風景
6.マッチの女(前妻マグダ)
7.ヘーゲルによる世界(作家ルドルフ・スロボダが語る)
8.父
9.寝ること
10.ジョイスのことば(James Joyce)
11.古い世界の肖像
12.カトリック教
13.ヨーロッパの中心への旅
14.結婚記念日
15.家族写真を撮ること
16.奇妙な優しさ
17.ソロー、カント、ゲーテ他(作家ルドルフ・スロボダが語る)
18.将軍(キートン将軍)
19.断食をやめること
20.あなたは何がほしい?
21.僕に音楽を演奏して

たまに会う息子は音楽院の受験を控えチェロの練習をしているが、実はどうでもいいと思ってるエロな年頃。車酔いする。

ヤバいのが前妻のマグダ。離婚でトーマスの財産も得たのに、かつて暮らしていたアパートに侵入し、これからも苦しめてやると言ったり、アンのパーティにやってきてアンを叩き始めたり、再婚(相手役はイジー・メンツェル)するから金が欲しいとか。。

さらに、別々に暮らしていた両親の問題や、
そもそもトーマスがロンドンに行く気があるのかなど、問題だらけではありますが、根が優しいトーマスは、この21章の様々なことすべてがスキなんだろうなぁと、不思議なほっこり感に包まれる読後感でした。

湖畔に車を停めて息子にチェロを弾かせ、鼻歌で分からないので「パパの頭の中のメロディを想像しろ。あの針が飛ぶレコードの曲だよ。」と言うと、息子が「エリナー・リグビー」弾くラストも好き。
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