Mikiyoshi1986

素晴らしき日曜日のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

素晴らしき日曜日(1947年製作の映画)
4.4
巡りめぐって日曜日!

戦後間もない東京を舞台に、金無しカップルの日曜デートを描いた黒澤明の隠れた傑作『素晴らしき日曜日』
(ちなみに4月1日は黒澤映画の常連俳優・三船敏郎のお誕生日!)

"世界のクロサワ"を冠するメインストリーム作品とは少々距離感があるかも知れませんが、
敗戦を迎え疲弊した日本の姿に対し、夢と希望を託された男女の人間賛歌が観る者に至高の感動をもたらしてくれる本作。

公開されたのは1947年7月ということで、
終戦から2年も経過していない本作にはまだまだ生々しい戦争の余韻が漂います。

復員し悲観的に現実社会を見つめる男と、何事も明るく楽天的に未来を夢見る女。

二人合わせて35円(今でいう3,500円)の所持金で当てもなくブラブラと街を彷徨い、
彼らはさもしくも世知辛い戦後日本の現実を次々と目の当たりにしていきます。

しかし終盤で二人が繰り広げるパントマイムから徐々に我々の心を打ち、逆境から夢想的な希望を創造する演出では底知れぬ歓喜がスクリーンを覆い尽くすのです。
また本作は素直に心から拍手できるか、できないかで大きく印象も変わってくるものかと。

本作で使用される楽曲も実に多彩であり、
シューベルト『未完成交響曲』や『楽興の時』といったクラシックから、童謡『きらきら星』や流行歌『りんごの唄』までを適材適所に配置しています。

一週間通してきた曜日シリーズも一旦ここで終了。

今日からいよいよ新年度が始まり心機一転!
不安と希望を胸に、新たな環境に身を置く方も多いのではないでしょうか?

真新しいスーツや制服に袖を通す方も、花見や行楽に出かける方も、ファーストdayで新作映画をハシゴする方も、仕事や準備に追われている方も、三月決算から解放され家でのんびりする方も、
どうぞ各々にとっての素晴らしき日曜日をお過ごしくださいませ。
Mikiyoshi1986

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