完璧じゃないからこそ何度も見たくなる映画の一つ。
伝記映画として描くには適当すぎるし、ノリが軽すぎる。
女の子映画として撮るには伝記映画っぽすぎる。
そのカテゴリの中途半端さとUKロックなサウンドトラックで「ソフィアコッポラの世界」が完全にできあがる。
ファッションフォトグラファーらしい構図や、ハッとするような定点カメラなど、じっくり見ると「ソフィア節」が発見できて楽しい。
毎日同じ事で退屈だなーと思いつつ、音楽に乗せられ、時代に流されて。。。
観客もこの「退屈そうな宮殿の日々」に感情はいつの間にかのせられるはず。
映画的なクライマックスもなく、あくまで彼女の人生のクライマックスに至る前の部分を「切り取った」感じがすごく好き。
ギロチンのシーンもないけども、彼女が一人の女性として豪華な宮殿で生きた瞬間を見れるだけで、これは伝記映画ではなく、あくまで「時代に翻弄された普通の女の子の人生」という印象で終わる。
「有名な王妃」である彼女を、母親として、子供と庭でゆったりと過ごしたり、朝帰りで友達と朝日を見た「彼女の日常」が描けるなんて、映画という存在はやはり素晴らしいなと思うのです。
完璧じゃないソフィアコッポラ映画こそ、何度でも見たくなるのです。