もはやスローシネマに近い極小カット数で韓国人旅行客と日本人観光客の香港での数日間を描いた作品。股間で切り替わるカットやラストの二段階ズームみたいな編集はどうにもあざといようだし、雰囲気を出させるための長回しが成功しているのか失敗しているのかわからないけれど、とにかくチルの中で立ち上がるムワッとした存在それ自体のエロさが尋常じゃない。自然音を取り入れまくった中に微かに聞こえる会話の心地よさはあったものの、妙にスピリチュアルな水の流れ、銅像のショットもリズムを作っているとは言い難い。それでもなお、どうあがいても他人同士の二人が寝床を共にしていく中でそっと頭を寄せ始める。そのリアリティ(むしろそこ一点しかないのだけれど)、観終わっての旅行に行ってきたようにすら感じるチルは唯一無二(しっかしジャケットクソすぎる)。