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刺青一代のkossのレビュー・感想・評価

刺青一代(1965年製作の映画)
3.7
前半と後半で落差が激しい。
前半は逃亡と兄弟愛をベースに満州やトンネル建設、談合、会社と工夫という社会視点を入れ、そこに人妻への愛、おきゃんな娘の恋を加える物語。

だが後半の殴り込みになると一挙に清順美学が炸裂する。座敷を次々進む襖のマトリョーシカ、赤い背景、アクリル板の下から見上げる戦い。落下する花札、砂浜の連行。清順と美術の木村威夫コンビの最初の作品でもある。

この映画で印象的なのは、抑えられたエロティシズムで、人妻への恋慕と菩薩彫り、足裏を踏み春歌を唄う和泉雅子、褌で水浴びする工夫たちなど随所にあふれ、鈴木清順の本質的な側面が表出する映画だといえる。
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