タケナミ

ブルーバレンタインのタケナミのレビュー・感想・評価

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)
4.5
夫婦の関係が崩れていく過程が、惹かれ合う過程と共に丁寧に描かれている映画。
恋愛映画で、どうしてお互いのことが好きなのかわからないままストーリーが進むと感情移入できないので、この映画みたいに付き合う過程がちゃんと描かれているとうれしい。

出会った頃の、シンディーがディーンに心を開くシーン(歴代大統領の名前を歌ったり、タップダンスをしたりするシーン)がかわいくて、並行して描かれている別れのパートが余計に辛い。

妻が夫を嫌いになった理由は、たいした仕事につかずに朝から酒を飲み、ずーっとタバコを吸っている部分に嫌気がさしたのが大きいのだろう。
普段の積み重ねで徐々に妻の夫への愛が薄れていき、もう夫の目も見られないほどに愛情が空っぽの状態になってしまった。
だから、夫からどんなに愛情を向けられても嫌悪感しか湧いてこない(好きな人からされて嬉しい行動は、嫌いな人からされると余計に嫌いになる)。
妻の態度がつれないから余計に夫も不安になって妻の気をひこうとするし、感情的にもなってしまう。負のスパイラル。

私も、目も合わせられないくらい男の人を嫌いになったことがあるから、ホテルでキスをされてもよける妻の態度を見て、ここから関係の修復は難しいだろうと悟った。

シンディー、ディーンともに、若くて素敵な出会った頃の姿と現在のくたびれた姿が別人に見えて、本当に数年後に撮影したのかと思うほど。
特に男性の方は、最初のうちは同一人物だという確証が持てずに、別の人物か?同一人物なのか?と疑問に思いながら見ていた。
昔は性格も見た目ちゃんとかっこいいし、現在はちゃんとヤバい感じがでているし。
(クレジットでララランドのライアン・ゴズリングだと知ってびっくり)
女性も髪型と服装だけでは表現できないであろう時の経過を見事に演じ分けていて素直にすごいと思った。
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