◆あらすじ◆
元教師の吉岡公子は鳥栖小学校の古くなったグランドピアノにまつわる特攻隊員の話を児童たちに聞かせて、大きな反響を呼ぶ。しかし、嘘だという記事が出て、吉岡は作家の三池らとともにその特攻隊員を明らかにする調査に出かける。
◆感想◆
特攻の前日にピアノを弾きたくて学校に訪れた特攻隊員にまつわるストーリーを軸に、当時の特攻隊員たちの悲しい事情が描かれていて、「死ぬこと」を求められた隊員たちと「死ぬことができなかった」隊員たちのそれぞれの悲しみが強く伝わってくる内容になっています。
主人公の吉岡公子は学校の教師であり、特攻隊員の2人が来校してピアノを弾く姿を目に焼き付けます。明日には死んでしまう2人の切実な思いが吉岡の心に響いて涙する姿はとても印象的でした。
特攻隊員2人のうちの1人が生きていることが判明するも、取材に一切応じようとしません。そこには彼の明らかにしたくない思いが強くあって、後に分かる彼の経験した過去の辛さはとても残酷でした。
現在でこそ生きる幸せを誰もが求める中、戦時中の死ぬことが求められる状況の異常さが鋭く心に突き刺さってくる作品になっていました。観て良かったと思います。
鑑賞日:2023年9月13日
鑑賞方法:CS 日本映画専門チャンネル