どんとこい侍

月光の夏のどんとこい侍のネタバレレビュー・内容・結末

月光の夏(1993年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

2022年9月、日本映画専門チャンネルで視聴。

「生き残った特攻兵は死んで行った者に負い目がある」。
現在はイラク戦争に行ったあとPTSDに苦しむアメリカ人が多いと報告されているけど、今作では戦争を体験された世代が50代くらい?精神的な負荷も大きな問題とはとらえられていない時代。
心境の変化ややりとりが丁寧に描かれているので、子供にも分かりやすいと思う。周りから根掘り葉掘り聞かれる事でなぜ死ななかったのか責められているように感じただろうし、仲間を思うと生きていることが申し訳なく耐えられない気持ちになることも痛いほど伝わってきた。

外国の人々が恐れたという神風特攻隊。自爆テロのような攻撃を作戦として採用して強要されても誇りに思ってた時代、「お国の為」を建前に誰も意見を口に出せない雰囲気、怖い。戦争は沢山の人を狂わせる。そんな中で必死に「戻れ戻れ!」と言ってくれたのは仲間の優しさのように感じた。
(余談だが、今年は戦争のドキュメンタリーで「当時は男児を産んで特攻に出して一人前の母親というような風潮があった」とやっていた。何一つ得るものの無い戦争で、失う側もどうにか悲しみを転換しないとやり切れなかったのだろうなと思った)

「あの時ピアノを弾いた人が生きていた」それは恥でもなんでもなくて、純粋に、大きな喜びだと思う。「ピアノに逢いに来て」という表現も素敵だった。ラストの青空が綺麗で、信じられないほど平和で、ピアノを弾くことが追悼に繋がったのかなと感じた。