むるそー

別離のむるそーのレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.5
離婚間際の夫婦と、失業中の夫婦。守るべき家族や自身の正当化のためについた嘘が入り乱れて"真実のない裁判"が展開していく様子を、イランが抱える社会問題を交えながら描いた作品。

イランの貧困や介護問題に、現代でもなお社会の第一規範となっているイスラーム法の時代錯誤な歪さが加わって、2組の夫婦が真実を語れない状況に追い込んでいる。でも誰も自分だけの為に嘘ついてるわけじゃなくて、"善人"のまま"悪人"になっていくというのが苦しいし本作の巧みな部分だろう。嘘に嘘が重なって、第三者からは何の真実も見えてこない構造は羅生門に似ていて、ミステリーとしてもおもしろかった。
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