140字プロレス鶴見辰吾ジラ

アポロ13の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

アポロ13(1995年製作の映画)
4.0
【死からの救出】

今年は現時点でデイミアン・チャゼルとライアン・ゴズリングの「ファーストマン」が暫定年間ベスト。オールタイム級ベストなのでこれを超えるのは、ホアキン・フェニックス版の「ジョーカー」との頂上決戦くらいか…それとも公開が間に合うならアリ・アスターの「ミッドソマー」か?

「ファーストマン」でアメリカ万歳でなかった問題が取り沙汰されましたが、「アポロ13」の救出作戦が月面着陸より先に映像化されたわけなので、時代のクロニクル的カタルシスを感じられなかった案件なのかなと…

しかしながら本作の救出作戦は重厚。最後には助かると史実上で分かっているものの、特に突き刺さるのが電気系統トラブルで安心な部屋が暗く寒い棺桶になってしまうこと。ここでパニックに陥れば単純エンタメ映画なのだが、宇宙でもがき地球であらゆる策を講じるスタッフの奮闘と死の影を直前に感じるクルーの脳内に周回したであろう走馬灯に近い感情が想起される。その中でアポロ13登場を風疹で叶わなかった男の奮闘は世の中の多くがベンチウォーマーとして青春を終えている確率論上胸に刺さる。

宇宙という人類の生存に適さない空間=死の世界に取り残されるた者たちを生還させた“栄光の救出“は、失敗や事故というネガティブなニュアンスはあるが後世に生のための人の毅然な行動としてポジティブに映るだろう。