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初国知所之天皇のmingoのレビュー・感想・評価

初国知所之天皇(1973年製作の映画)
3.9
アップデートされ続けてるらしい2022verは2画面端がかぶりすぎて気になるのでオススメはできない。しかしそれでもヘタウマの極地、日本のエッセイフィルムで一番メカスを体現できているような映像に心沸き立つ。北海道から鹿児島まで縦横無尽に突っ切る中で「古事記」と「日本書紀」をベースにろれつのまわらない途切れ途切れの言葉に多層に重なる歌、何を自身に見出したら分からない自分探しの旅が「その風景のどこにも自分はいない」と輪郭を帯び、結果「魂の浮遊性」とどこにでも行ける「偏在」につながる原監督の若き解答に旅をしたことがある人ならだいたい感銘をうけること必至。「僕が旅に出る理由はだいたい100個くらいあって」なんてでまかせで理由なんて無い。かく言う私もバックパッカー経験者なので高千穂の遠さに愕然とした記憶がある、九州が最も調べがいがあると未だに思っている。「20世紀ノスタルジア」へ繋がっていくであろう鹿児島で初めて映画を撮った少女の一連のシーケンスは大変忘れがたい。
「風景に向けていたカメラをゆっくり自分の方に向けると不在証明としての風景から不在証明としての自画像になっていくわけです」
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