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荒野の渡世人のrollinのレビュー・感想・評価

荒野の渡世人(1968年製作の映画)
3.3
高倉健演じるハーフのケンは、五人の悪党によって殺された両親(志村喬!)の仇を討つため、復讐の荒野に旅立つのでした。

「新幹線大爆破」や「人間の証明」の佐藤純彌監督によるスキヤキウエスタン。オーストラリアロケで、「ウエスタン」「殺しが静かにやって来る」と同じ花の68年組。東映のあの波飛沫バシャーンから駅馬車が爆走する冒頭の迫力は満点。漢字のタイトルが画面いっぱいに出るのもめちゃくちゃカッコいい‥‥んやけれども。

両親の仇は早々に見つかりまして、ただそこから延々とめぞん一刻級に焦らされます。しかもいちいち仇の家族とケンが仲良くなってしまうので、人の良いケンは葛藤し、またまた仇討ちは先延ばしになり‥。とはいえ高倉健のガンマン姿はとてもカッコ良く器用で、こんなトンデモ設定でも一生懸命誠意を込めて演じる姿勢には敬意を表します。しかし流石に映画全体が真面目過ぎ!

それでもオーストラリア版藤岡弘、の様な師匠との修行シーンはまるでガキの使いの教室シリーズみたいで面白かったし、丸太に空き瓶を並べて射撃の練習をするシーンでは、ケンが撃つ前に瓶が倒れるという、うっかりフォースの覚醒も見られます。
さらにラストの討ち入りではついに任侠映画と西部劇の融合!というか無理矢理父親の形見の日本刀を持っていくだけやけど、ようやくケンではなく健さんとして呼吸することが許された様な気がしました。呼吸と言えば、刀の居合いと銃の早抜きは同じ呼吸だそうです。勉強になりました。
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