千年女優

ハウルの動く城の千年女優のレビュー・感想・評価

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
3.0
父親が残した帽子屋で働く三姉妹の長女で、兵隊に絡まれていた所を「心臓を喰らう」魔法使いのハウルに助けられたソフィー。そのことで彼をつけねらう荒地の魔女に90歳の老婆に姿を変える呪いをかけられた彼女が、ひょんなことからハウルの動く城に住まうことになり、やがて隣国との魔法戦争に巻き込まれる様を描いたアニメ映画です。

数々の金字塔を打ち立てるも以後は引退を匂わせては撤回を繰り返す宮崎駿が、当初は細田守監督で進んでいたダイアナ・ウィン・ジョーンズの小説を原作にした制作を引き継いで完成させた2004年公開作品で、14年ぶりの他者原作や木村拓哉の声優登用が話題を集め、三度の興収記録更新はならずとも196億円を稼ぐ大ヒット作となりました。

『魔女の宅急便』で女性の社会進出を描いた様に原作のトレースに甘んじず年齢と思考を重ねてはた目には「こじらせ」に映る監督自身の想いを投入します。その恋愛観や師弟観に戦争観と原作の世界観との相性は定かでないですが、好きなものだけ連れての「呪われた夢」の象徴たる「空」への逃避行に諦めと不穏をにじませている一作です。
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