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天国は待ってくれるのTOMJFKのレビュー・感想・評価

天国は待ってくれる(2007年製作の映画)
3.9
僕は肯定派

観終わって、心に残る余韻・・・それは、やはり岡本綾の憂いを秘めた表情でした。 この映画のストーリーは、家族や親しい仲間を登場させながら、人間をなんとも深く描いていると思います。
そして、根底に流れているテーマ、人を思いやる気持ちや、この世に成就する意味(武志が親友二人の幸せのために一度、下界に降りたということ)などについて、共感できました。
登場人物が、みんな良い人たちで愛おしかった。
☆大好きな親友に優し過ぎて、「薫を好きだ」という自分の本心を告げられない、“いい人”・・・宏樹を演じる井ノ原快彦が、はまり役だ。
☆築地のキップのいい青年、武志を演じる清木場俊介。自らの死を見つめる真剣な表情が印象的だ。
☆子供たちを愛してやまない、いしだあゆみの愛情溢れる演技。 娘に「薫がどんな答えを出しても、私はそれを応援するよ」と、親の鏡です!
☆画面に登場するたびに印象的な名脇役、妹役の戸田恵梨香。 人の心を良く読めている役です。この人の真剣な表情も凄い。
☆もう一人の名脇役、石黒賢。「Little DJ」の父親役も感動的でしたが、今回の医者役も、誠実味があり、良かったです。
☆そして、なんといっても岡本綾。 私は「地下鉄(メトロ)に乗って」の彼女を観て、ぶっ飛びました。
もう芸能界引退したんだと思っていたら、本作に出ていたので、即、DVDレンタルした次第です。
彼女を観ようと、本作を観ましたが、やはり、魅力的です。
激動のストーリー展開に、豊かな表情、特に憂いを秘めた表情は、観ていて切ない程です。
「薫が幸せにならなきゃネ」との母に対し、「そんな簡単じゃない」と、複雑な心理状況を表現する彼女の演技、迫真の演技でした。
映画全体としても、観ていて、心が動かされる場面が幾つもありました。
また、隣人への「死の告知」というテーマにも、正面から描いていました。
「俺、あとどれくらい生きられる?」と問う、武志の真剣な表情に、真実を語る宏樹。
この場面を観ていて、スタッフたちの真摯な姿勢が伺えます。
幼い頃、誓い合った「聖なる三角形」 大人になって、築地の市場と朝日新聞、それに銀座の鳩居堂文具店の三角形。
そして、ときどき見上げる教会の聖なる十字架。
これを見上げるたび、「聖なる三角形」の絆を確認していたのでしょう。
いい映画でした。
一つだけ、不満は主題歌です。 劇中のサウンドトラックは気になりませんでしたが、ラストに流れる主題歌は、ちょっと雰囲気がマッチしていないと思います、残念です。 2010/11/13
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