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ケープ・フィアーのkuuのレビュー・感想・評価

ケープ・フィアー(1991年製作の映画)
3.7
『ケープ・フィアー』
原題 Cape Fear.
製作年 1991年。上映時間 128分。

レイプ犯として長く獄中生活を送った男が、弁護士一家を恐怖のドン底に追い詰めるスリラー。『恐怖の岬』(62)のリメイク作品。
全身にイレズミを施したデ・ニーロが、復讐に燃える狂気の男を過剰とも思える演技で見せる。
J・ルイスが恐怖に怯える娘を好演。
他にニック・ノルティ、ジェシカ・ラングほか。
監督はマーティン・スコセッシ。脚本はウェズリー・ストリック。音楽はエルマー・バーンスタイン。

出所したマックスは、自分を救えなかった弁護士一家に復讐の念を燃やしていた。
彼は徐々に、弁護士の家庭に恐怖の魔の手を伸ばして行くのだった。。。

オリジナルの『ケープ・フィアー』を観ていないので、両作品を比較することはできませんが、今作品を観た限りでは、かなり暴力的な作品であることは間違いないっすね。
素晴らしい監督、素晴らしいキャスト、そして良いストーリーなど、可能性はすべて揃っている。
が、冒頭は非常にうまくいっており、この取り付かれた狂人の物語にすぐに飛び込めるが、終盤になると恐怖はチョイとバカバカしさと予測可能なものになり下がっていく。
第一幕が良かっただけに、ラストは少しがっかりさせられたかな。善と悪の対決という、ホラー(スリラー)映画にあるお決まりの展開。
今作品がこのような展開になることは分かっているし、監督が何かサプライズを投げかけて衝撃を与えてくれることを多少期待してたが、それはなかったし残念。
とは云え、今作品は、素晴らしい俳優たち、特にJ・ルイス、デニーロだけではなく俳優陣のできる限り素材を引き出してんのは監督の力量にあるんかな。
他にも、俳優陣ではニック・ノルティは素晴らしい演技をしてたし、脚本と、この映画が作られた当時、アル中の彼が酒を飲んでいなかったという事実のおかげかな。
ジェシカ・ラングは、ヒステリックな悩める妻の叫びを披露してたし、彼女のキャラには、もう少し深みがあったらよかった。
ロバート・デ・ニーロ、タフな受刑者の男にしてはちょっと老けて見える。哲学を学んだと豪語し、偉そうなことを言っているが、その一方でストーカー殺人犯と、この矛盾はちょっとおかしいし、信じられないと思うが、しかし、それが映画を台無しにすることはないかな。
また、巧みなカメラアングル、緊迫したクローズアップ。
また、心理描写に優れてました。
また、効果音や音楽は特に優れてたかな。
映画での音楽(効果音も含む)の面白いところは、たいていの場合、音楽に注意を払わないということ。
音楽は、ある種の感覚を与えてくれるもので、その感覚がどこから来るのか、よく分からないまま。音楽が悪いと映画も悪くなるし、音楽が良いと映画も良くなる(悪い映画を救うには不十分だが)。マーティン・スコセッシは、1962年の『ケープ・フィアー』の音楽をそのまま使用したそうです。
この音楽は、ビクつく小生に忍び寄り、喉をかきむしり、マックス・ケイディよりも暴力的。
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