アーリー

プロヴァンスの贈りもののアーリーのレビュー・感想・評価

プロヴァンスの贈りもの(2006年製作の映画)
4.0
2023.9.4

まさかのラブロマンス。リドリー・スコット作品で初では。しかも主演ラッセル・クロウ。「グラディエーター」コンビの再タッグがこれなのは面白い。

プロヴァンスはフランスの南部の地方。THE・ヨーロッパの田舎って感じ。凄い美しくて穏やか。建物が古びているのも良いし、ワイン畑も素敵。映像だけでも充分に満足出来てしまうぐらい。朝日に照らされ目を覚ます。朝食を済まし外に出ると青空と自然が広がる。少し散歩したあとテニスで汗を流し、プールで身体を冷やす。軽く昼寝をした後遅めの昼食をとり、木陰でワインを飲みながらお気に入りの本を読む。夕陽を眺めながら家路に向かい、大切な人たちとちょっと豪華な食卓を囲む。今日感じたことをお互いに話し合い、明日の穏やかな1日を祈りながら眠りにつく。3日ぐらいでいいからしてみたい。まぁワイン全然好きじゃないけど。

法律スレスレの手を使い荒稼ぎする証券マン?の男が、叔父が残したプロヴァンスの土地とワイナリー、そしてそこに住む人々と触れることで、叔父がこれまでにくれた言葉の真意を知り、自分の人生を見つめ直すお話。ロンドンの慌ただしさとプロヴァンスの穏やかさはもちろん、自然がなく無機質な都会とカラフルで暖かい田舎の対比もされてる。都会は都会でスタイリッシュな雰囲気があり、その映像をこれまで撮ってきたイメージのあるリドリーが今作を手がけたというのが面白い。彼のフィルモグラフィーの中でも異色で貴重な作品。
 ラブロマンスとは言ったものの、ヒロインのマリオン・コティヤールとのシーンは意外と少なめ。007並に展開の早い恋で、最後実は昔出会ってましたとその唐突さを無くすかのようなオチがある。叔父が残した宝物を受け継ぐためのラッセル・クロウの変化を描くための一部。だからメインの要素ではない。夜の雨の中パラソルの下でキスをする二人の画は美しかった。
結局女かいと思わんこともないけれど、叔父との日々をフラッシュバックのような形で丁寧に描き、彼の隠し子の女性の来訪やワイン畑を任されていた男やその妻たちの存在が大事だったことも理解出来るように作られてる。
 出てくる女性全員がセクシーで魅力的なところに映画作りとしてのやらしさを感じるけど、なんだかんだ興味を惹かれてしまうのは男の性かな。コメディタッチで描かれてるのも観やすい要素で良かった。

ほっこりする作品。とりあえずプロヴァンス行きたい。
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