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逮捕しちゃうぞ the MOVIEのシネラーのレビュー・感想・評価

逮捕しちゃうぞ the MOVIE(1999年製作の映画)
4.0
藤島康介による原作漫画
「逮捕しちゃうぞ」の劇場版アニメを
十数年振りに再鑑賞。
「逮捕しちゃうぞ」はTVシリーズや
OVAを何となく観たりしていたが、
従来のシリーズがコメディ感の強い
作風になっていたのに対し、
本作は全体的にシリアス味が増しつつも
シリーズの良さを加えた秀作だと思う。

墨東署の管轄で起きた
拳銃密輸事件を皮切りに、
爆弾テロに墨東署襲撃へと事態が
深刻化する中、墨東署の名コンビである
辻本夏実と小早川美幸をはじめとする
全署員が活躍する内容となっているが、
リアルでシリアスな展開を
墨東署面々の持ち味で打開していく
物語に面白味があって良かった。
東京タワーや勝鬨橋をはじめとした
都内の名所がリアルに描かれ、
交通網の脆さも事件を通して
描写されていて現実味を帯びていると思った。
"パトレイバー"からの影響や
後の"踊る大捜査線"での
橋の封鎖展開も感じられ、
そういった点での面白味もあって良かった。
カーアクションにガンアクションも豊富で、
シリーズお約束の足ブレーキや
ニトロ加速もありつつ、
ヘリコプターに吊り上げられた
パトカーからの発進やエアガンで
テロリストに対抗する場面等、
どちらも滅茶苦茶な要素がありつつも
爽快感があって大いに楽しめた。
シリーズ初見でも
特に問題ない作風となっており、
夏実と美幸それぞれのキャラクターの
良さからの見せ場もあって良かった。
劇場版なだけに人物や背景が綺麗なのも
好印象だった。

不満点としては、
真犯人と関わりある課長の
人間ドラマ的な場面の描写が少なく、
もっと映画の尺が長くても良かったと
思う部分だった。
又、アクション場面において劇画的な
静止画で描かれる部分があり、
緊迫場面では合ってないと思う部分が
ない訳ではなかった。

個人的にもっと評価されても良いと思う
アニメ映画の一つであり、
シリーズの爽快さもある良い劇場版だった。
また同一キャストで新作アニメも
観てみたいと思うアニメだ。
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