キッチー

パッションのキッチーのレビュー・感想・評価

パッション(1982年製作の映画)
3.6
1982年公開のゴダール監督作品『パッション』を観賞。パッションの意味は情熱、受難っていうことらしいのですが、難しい作品でした。

主演のイザベル・ユペールは公開当時で29才、ショートカットで働いていた工場を解雇される少し吃りのある喋り方のお姉ちゃん(役名もイザベル)をやっていて新鮮でした。

物語は映画の撮影現場の話とその近所の工場の話が並行して走っていて、わかりづらかったです。劇中で撮影している映画も「パッション」で、ドラクロワやレンブラント、ゴヤらの名画(「夜警」や「裸のマハ」等々)を再現しようとしているのですが、遅々として進まず。制作日数も予定オーバー、費用もオーバーしていく状況で、撮影がストップしていて、スタッフもそれぞれ好き勝手なことをやっている...

撮影している映画の監督ジョルジーからしてイザベルと彼女が働いていた工場の社長婦人ハンナ(ハンナ・ジグラ)に対して二股をかけていたりで、訳が解りません。作っている映画の方も映像にはこだわりがあるようですが、ストーリーが無い感じで、???です。
それでも制作期間や費用がオーバーしたり、プロデューサーと対立したり、監督の大変さは伝わってはきますけど...
ちょっとフェリーニの『8 1/2』を思い出しました。

理想と現実、光と影、美と醜とか対比して描かれていたように感じましたが、なかなか理解が難しかったです。工場の方では労働者と資本家も対比させていました。使われている音楽も、労働者を連想するものや資本家を連想するものを使っているようなので、その辺の知識があれば理解が深まるかもしれませんね。

この作品、今は閉館になった六本木のシネ・ヴィヴァンが出来た時に公開されていた映画なんですが、見逃してしまい、やっと観られました。
でも、当時観てもやっぱり解らなかったでしょうね(笑)
キッチー

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