あなぐらむ

愛情の都のあなぐらむのレビュー・感想・評価

愛情の都(1958年製作の映画)
4.0
同じ井出俊郎脚本の1956「美貌の都」の設定を入替えた様なロマンス編。
田舎出のおぼこ娘・司葉子(当時24歳)が義姉の草笛光子経営のジャズ喫茶で社長の女たらし御曹司・宝田明に出会い、見初められ恋をし、裏切られ…という東宝メロドラマの王道の仕上がり。
井出俊郎のホンは宝田の出自や彼を秘かに慕う団令子、情婦の淡路恵子の描写が丁寧で、彼一流の複数キャラの人間模様も描き出しつつ、文字通り飛び道具まで持ち出す技巧は飽きさせない。浪花千栄子節も炸裂、若き丸山明宏のステージも。神田・御茶ノ水の風景(ニコライ堂など)も効果的。

物語は後半の、転落してからの彼女を見せる為に設計されてるので、前半のカマトト葉子からの芝居の振れ幅、ルックスの変化が見所なんだが、あんた一回振られただけやん、とか思いつつも、落ちぶれた方の艶メイクな葉子の麗しさに惚れ惚れ。
「君に一目惚れしてた所さ」なんて台詞は宝田さんにしか言えません。