一人旅

ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎の一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
バリー・レヴィンソン監督作。

アンブリンを率いるスティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務め、クリス・コロンバスが書いたシナリオを基にバリー・レヴィンソンが演出を手掛けたミステリーアドベンチャーで、シャーロック・ホームズと助手ワトソンの少年時代を描きます。

19世紀後半の英国ロンドンを舞台に、寄宿学校で学んでいる頭脳明晰な少年シャーロック・ホームズと医者志望の少年ワトソンが、巷で起きている連続怪死事件の謎を追う中で、古代エジプトの邪教集団による陰謀に直面してゆく…という娯楽ミステリーで、のちの名探偵シャーロックと助手のワトソンの出会いと初めての共同捜査を描きます。

アーサー・コナン・ドイルの推理小説が原作ではなく、クリス・コロンバスがドイルの原作から想像を膨らませて書いたオリジナル脚本を基にしたオマージュ映画であり、原作でも描かれることがなかったシャーロック&ワトソンの少年時代にスポットライトを照らしています。シャーロックとワトソンの名コンビ誕生と友情の形成を軸に、ロンドンで起きた不可解な難事件の解明に挑む二人の共闘をテンポよく描いた娯楽ミステリーで、小さな手掛かりから事件解決の糸口を探るシャーロックの冷静沈着&頭脳明晰な立ち回りと、彼に助手を頼まれ行動を共にする中で逞しく成長していくワトソン少年のいじらしさが魅力的なキャラ映画でもあります。

推理過程重視の原作小説とは違って、SFXを駆使した活劇に力を入れた痛快な娯楽作に仕上がっていて、謎の邪教集団のアジトでの攻防劇ではスピルバーグの『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)を完全に彷彿させるアドベンチャー&アクションを愉しませてくれます。推理ミステリーと冒険活劇のバランスが取れたスピルバーグ印のオリジナル版シャーロック・ホームズで、ニコラス・ロウ&アラン・コックスの無名の主演コンビが原作の役柄に徹した好演を披露しています。
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