◆あらすじ◆
サンフランシスコ・ジャイアンツの大物スラッガーのボビーの大ファンのギルは、仕事の予定があるにもかかわらず息子を開幕戦に誘う。その結果、仕事に失敗したうえに息子を放置したため、会社は首になり、別れた妻から息子に接近しないよう法的措置をとられる。失意の中、ギルはボビーを心のよりどころにするが、次第にボビーへの感情は暴走し、ギルは思わぬ行動をとり始める。
◆感想◆
ファンとしての感情が暴走して現実に思わぬ行動をとる男の姿を描いた作品になっており、主人公のギル・レナード(ロバート・デ・ニーロ)が元から感情的過ぎる姿勢が狂気に満ちていく怖さを感じました。
ギルは元々、性格に難があって極度に自己中心的で粗暴であったため、最初から感情移入しない人物でした。その上、ボビー・レイバーン(ウェズリー・スナイプス)選手への想いが強すぎて、その他の選手や野球を尊ぶ姿勢が微塵もない最低の人物に見えました。
一方、そんなファンに好かれてしまったボビーは高額で移籍したため、多くの注目を浴びており、少し横柄だけどメジャーリーガーとしてリアルに感じました。マネージャーのマニー(ジョン・レグイザモ)とのやり取りが内情を伝えていて面白かったです。背番号をめぐりホアン・プリモ(ベニチオ・デル・トロ)とトラブルになるのですが、ボビーの大人げなさを感じました。「背番号がホームラン打つんじゃねえよ」と思いました。
ギルが暴走し始めてからが本作の見どころであり、名俳優ロバート・デ・ニーロの狂気に満ちた演技が秀逸でした。誰も望んでいないことをギルが勝手に考えてボビーのために行動を起こすという流れは本当に怖かったです。ファンに許されるのは応援と課金だけです。
本当にロバート・デ・ニーロの演技が素晴らしくて見応えのある作品でした。自分の理想から外れる事実を排除しようとしたギルにとってハッピーエンドは望むべくもなかったです。
鑑賞日:2024年1月22日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2023年11月7日)