櫻イミト

アンナ・カレニナの櫻イミトのレビュー・感想・評価

アンナ・カレニナ(1948年製作の映画)
3.5
トルストイの代表的作品「アンナ・カレーニナ」(1877)の三度目の映画化。ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の戦後代表作。

1870年代ロシア。政府高官カレーニンの妻である美貌のアンナ(ヴィヴィアン・リー)は、若い貴族将校ヴロンスキーと許されぬ恋に落ちてしまう。。。

不倫破滅劇。そこにデュヴィヴィエ監督ならではの幻想風味が加えられて割と好みだった。特にラストシーンはインパクトがあり印象に残る。ヴィヴィアン・リーが演じる主人公の病的な美は物語の進行に比例して深度を増していく。「ミスター・グッドバーを探して」(1977)は影響を受けているのではないか。増村監督の「盲獣」(1969)も連想した。

途中、二か所ほど強引な急展開があり面食らった。トルストイの原作は大長編なので省略も止む無しだろう。原作は本作シナリオのその後まで描かれていてテーマはさらに奥深い。それでも文学の映画化としては上出来と思われる。
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