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陸軍中野学校のbrianのレビュー・感想・評価

陸軍中野学校(1966年製作の映画)
3.8
戦前から戦中にかけて実在したスパイを養成する機関、陸軍中野学校での出来事を中心に戦争の狂気と悲劇を描いたサスペンス映画。

この作品を面白いと感じる人がいるけれど、僕はそう感じなかった。最近、戦争関連の作品ばかり鑑賞しているからかな。迫り来る不安と恐怖。先が見えない戦争。

市川雷蔵様は時代劇とはまた違ったニヒリズムを感じさせる。血も涙もない人間とはどういうことなのかを淡々と演じ見せてくれた。感情を抑えたナレーションが印象的。

小川眞由美は雷様を思いっきり抱きしめる姿と命が絶えていこうとする姿に人間の愛と悲劇を強烈にアピール。シリアスもコメディもこなせる魅力的でステキな女優さんだ。

加東大介は冷徹さと気遣いを巧みに使い分けながら学生たちを誘導する軍人を演ずる。戦地へ行けば失態をおかすに決まっている。こんな会社の上司とは一緒に働きたくない。

映画「眠狂四郎」でお馴染みの星川清司がリアリティのある脚本を手がけて人間の凡ゆる心理を描き、それを増村保造が容赦なくえぐり出しあぶり出す演出に最後まで見入ることになった。
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