洋画好きのえび

レッド・ドラゴンの洋画好きのえびのレビュー・感想・評価

レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)
3.8
レクター博士シリーズ3作目ですが、時系列としては『羊たちの沈黙』の前にあたる本作。グロが得意ではないので観るのを躊躇っていましたが、観てよかったです!『羊たちの沈黙』を思わせる良質なミステリーでした。お勧めしてくださったasperinさん、まーしーさん、ありがとうございました!

FBIの優秀な捜査官であるウィル・グレアムは、犯罪者の心理に詳しい精神科医であるハンニバル・レクターの協力を得ながら、とある連続殺人事件の犯人を追っていた。しかし、あることがきっかけで、ウィルは自分が追っている犯人がレクターであることに気付き、また、ウィルがその事実に気付いたことを察したレクターと揉み合いとなる。レクターの逮捕に成功したものの、レクターによって心身に深い傷を負ったことから、ウィルはFBIを退職したのだった。…それから数年後、一家全員が殺害される殺人事件が立て続けに2件発生。犯人の特定すら出来ず捜査が難航する中、FBIの捜査官であり、ウィルの上司であったクロフォードは、退職したウィルに捜査への協力を要請する。しかし、クロフォードの真の狙いは、ウィルを通じてレクターに捜査極力をさせることだった。悩みつつもクロフォードの要請を受け入れるウィルだったが…

主要キャストがエドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、アンソニー・ホプキンスと演技派俳優揃いであることもあり、見応えのある作品でした。レクター博士の出番は『羊たちの沈黙』と同じくらいであまり多くはありませんでしたが、ミステリーとしての出来が素晴らしかったため、あまり気になりませんでしたね。レイフ・ファインズの悲哀に満ちた演技が魅力的でした。
レイフ・ファインズ演じるダラハイドがウィルの追う連続殺人犯なのですが、彼のバックグラウンドを知るにつれ、本当になんとも言えない気持ちになります。コンプレックスを抱えて生まれ、さらに肉親から度重なる虐待を受けた結果モンスターとなってしまったダラハイド。ただの異常者として描くことも可能な人物ですが、彼の精神の変遷や揺らぎを丁寧に描くストーリーが物語をより深いものにしていたように思います。ラストの炎の中でのダラハイドの告白はこちらも辛い気持ちになりましたね…
そして、結局レクター博士はダラハイドの心に共感したわけでもなく、ウィルに情けをかけたわけでもなく、ただお気に入りのウィルを自分の掌の上に置いて遊んでいただけだったのだ、と観賞後に気付いて、レクター博士の異常性もきちんと描かれていたのだなぁと感心しました。こうして見ると、クラリス-レクター博士の関係性はやはり特別なものなのですね…

さて、残るハンニバルシリーズは『ハンニバル・ライジング』のみですが、こちらにはアンソニー・ホプキンスは出演していないんですよね… グロ押し+NOアンソニー・ホプキンスとなると観る気がどんどん減退するのですが、どうしようかな…