千年女優

フランケンシュタインの千年女優のレビュー・感想・評価

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)
4.5
19世紀初頭のバイエルン・アルプス。フランケンシュタイン男爵家に生まれた科学者で、助手のフリッツと夜な夜な墓から死体を暴いては人造人間製造に没頭するヘンリー。ウォルドマン教授の研修室から盗み出した脳で遂に生命を生み出した彼が、一度は歓喜に震えるも次第に制御不能なモンスターに翻弄される様を描いたSFホラー映画です。

同年に『魔人ドラキュラ』の大ヒットを実現させたユニバーサルがホラー映画第二弾として1800年代前半に活躍した英国人女性作家メアリー・シェリーの代表作となったゴシック小説を映画化した作品で、後に続編や『透明人間』を手掛けるジェイムズ・ホエールが二作連続のヒットを実現させてホラー映画文化を広く大衆へと定着させました。

映像加工のない終戦前の作品ですが、大掛かりな仕掛けを用いてモンスター映画としてのスケールを担保し、荒いモノクロ映像の質感が赴きを感じさせます。生命をおもちゃにすることの業と、それがそのままもしも神がいるのならば人は皆「フランケンシュタインの怪物」であるという終わりなき悲しみに繋がる、メランコリックな一作です。
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