たむランボー怒りの脱出

黒い収穫のたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

黒い収穫(1992年製作の映画)
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パプア・ニューギニアのとある村でコーヒー豆によるビジネスの展開を試みる一人の男、ジョー・レイと村人たちの関係を記録したドキュメンタリー作品。

主人公のジョー・レイには、この村との因縁の過去がある。
それは、彼の父親はかつてこの村の侵略者であり、彼の母親はこの村の女であるというもの。

白人と黒人の混血である彼は、父親とは違って村人たちと友好的な関係を保とうとする。
しかし、どうしても「搾取・被搾取」の関係が浮かび上がってきてしまい、両者の溝が深まっていく…。

この映画のカメラは、ジョー・レイに対して優しいと感じた。
カメラは村人たちとの齟齬による彼の孤独を浮き彫りにしていく。

村人たちと口論になる場面では必ず、村人たちはジョー・レイを囲むような立ち位置で口々に文句をぶつける。
「一」対「多数」の人物の関係がここまで分かりやすく(まるで演出されたように) 配置されていることに驚いた。

このあまりにリアル過ぎる残酷さは、微塵のカタルシスも感じられない、劇映画では表現出来ない物語であった。